いただきます

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    「それじゃあ真化野さんまた明日」     「ああ、また明日……って何!? 明日も会うの!?」      いきなり明日の予定を強制的に変えられたのは数キロの道を歩き、門の所に着いた頃だった。      勿論、丁重にお断りするつもりだったが『私と会いたくないのですか』と泣きそうな顔で言われ、さらにいつの間に配置されていたのか、入る時にはいなかった警備員に睨まれた為、明日のバイトをキャンセルする事になった。     「はあ……明日はバイトの日なのに、何でキャンセルして芽璃依さんに会わなくてはいけないんだ……」      俺は帰り道を一人で淋しく歩きながら呟く。  その姿はまだ若い高校生ながら、人生に疲れ切った中年のサラリーマンのようだと自分でも情けなく思う。     「まあ、確かに今日は一日でかなり疲れたしな」      そう言って俺は空を見上げた。真ん丸な月が太陽の光を反射しているのが見える。     『では、明日である8月13日の午前10時30分55秒に私の家に来て下さいね!』      帰りに芽璃依さんが言っていた言葉を思い出し、55秒だなんて微妙な時間指定してくれたなと苦笑いしながらもきちんと遅れないように覚えておく。     「さて、明日はどんな一日になるんだろうな」      ここ数年思わなかった言葉を口にして、俺は自分の家へと足を進めた。
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