誘い

10/11
前へ
/86ページ
次へ
…ハァ 心配して損したな。 吸いかけのタバコを灰皿に押しあてて消し、ベッドに潜り込む。 「彰人さん…」 はっ? ようやく寝られるかと思ったのに、まだ何かあるのかよ? 「何だ…?」 俺は不機嫌を繕いもせずに答える。 「手…握っていい?」 手? お前、25だろ? 何で手なんか… そう思いつつも、時折見せる寂しげな表情が頭から消えない。 仕方ねぇな… 「…どーぞ?」 そう言って手を差し出すと、少し冷たい雅夏の手がオズオズと触れてくる。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

475人が本棚に入れています
本棚に追加