《ゆらゆらと》

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《ゆらゆらと》

ゆらゆらと、ゆらゆらと。 紅蓮に染まる川面に漂う。 ゆらゆらと、ゆらゆらと。 それらは生きていたはずだった。 ゆらゆらと、ゆらゆらと。 黒い雨が降りしきる中、 ゆらゆらと、ゆらゆらと。 剥がれた皮膚を引き摺り、痛みも熱さも…神経までもが麻痺していく。 目も眩む閃光と、魂までも吹き飛ばす衝撃波。 飛び散った意識を取り戻した後に、 目の前に拡がる地獄絵図。 様々な『もの』が焼ける臭い。 蠢(うごめ)く『肉の塊』達。 川に、河原に折り重なる屍の山々。 踏みつけて感じる『肉』の感覚 本能のまま、己が生き残る事しか浮かばない。 『助けて、助けて。』 『痛い、痛い。』 『熱い、熱い。』 唸り声の隙間から微かに聞こえてくる『人の言葉』。 どうしたらいいのかわからない。 どこに行けばいいのかわからない。 ここがどこだかわからない。 一瞬にして総てを焼き尽くした。 『街』も、『人』も、『空間』も、そして『時間』さえも焼き尽くしてしまった。 生き延びた人々は未だ苦しんでいる。 彼らの『戦争』はまだ終わってはいない。
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