act.01〔車〕

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         ガタゴト。  ―――景色が流れていく。  ガタゴト、ガタゴト。  眠い。  一定の揺れが、俺の睡魔を巧みに誘ってくる。  ガタゴト、ガタゴト。  四角く切り取られた景色が、流れていく。  ガタゴト、ガタゴト。  眠、い。 「あっ、ちょっとちょっと、何一人で後部座席を悠々と占領して寝てんのよ!」  ……説明的なセリフをありがとう、妹よ。  ついでに言うと、殴ってくれたおかげで目も覚めた。 「奏、別に起こさなくてもよかったんじゃない?」 「甘いわよ、仁兄(ヒトシニイ)。智兄(トモニイ)は一回寝たら起きないの、よく知ってるでしょ」  助手席に納まった我が妹奏は、運転席の叔父貴に偉そうにそう言った。 「まあ……そうだね」  肯定された。  ちょっとショックだ。  俺はまだ少しぼんやりしている頭を叩き動かして、寝そべっていた後部座席から身体を起こした。 「ん、それでよろしい」  奏は満足そうに微笑むと、顔を前に戻した。
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