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今俺は、叔父貴―――井上 仁の車の中にいる。
目的地は、ちょっと大きめのスーパーマーケット。
目的は言わずもがな買い物だ。
―――俺と妹の奏は、幼い頃、ちょっとした事件で両親を一遍に失った。
俺は当時13、奏は12才だった。
中一と小六のガキが二人暮しなんか出来るはずがないと遠い親戚たちは葬儀の席で口々に喚いたが、俺と奏は譲らなかった。
遺産目当てでちやほやされるのはもちろん、腫物扱いもごめんだった。
『いいんじゃないかなぁ』
そんな俺たちを唯一支持してくれたのが、仁叔父だった。
今思えば凄いと感心するしかないが、当時まだ二十歳前半だった仁叔父は、その場で、何の躊躇いもなく俺たち二人を最後まで面倒見ると断言したのだ。
その真摯な姿勢に感化されたのか親戚たちは引き下がり、俺たちは晴れて両親の住んでいた家でそのままくらしていけることになった。
仁叔父には、感謝してもし切れない。
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