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だから出来るだけ仁叔父には負担をかけたくないのだが……買い物の時はこうして車に乗せてもらわなくてはならない。
中途半端に田舎に位置する俺たちの家は、如何せんかなりスーパーから遠かった。
早く免許が欲しい。
18になったついこの間から自動車学校に通い始め、次からは仮免で路上に行けることになっている。
教官が言うには驚異的な早さらしいが、俺からしてみればもどかしいことこの上ない。
「……でもホントに片道だけでいいの?帰りも呼んでくれればちゃんと送るよ?」
「いーのいーの、行きだけで。
だって仁兄、この後デートなんでしょう?」
がっくん、とかなり盛大に車が揺れて、俺は物思いから引き戻された。
「なんで知って……じゃなくて、そんなワケないだろ」
「ふふ、あたしの情報網を甘く見てると火傷するわよ、仁兄」
目を細め、至極愉快そうに笑う奏。
「ちゃーんと、調べはついてるのよ」
羽織っていたパーカーのポケットから、妙に分厚いメモ帳を取り出す奏。
「目撃証言だけでも、いち……にぃ、さん……」
淡々と内容を読み上げようとする恐ろしい俺の妹、奏。
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