未知数

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「英輔、人材派遣って知っているか?」 「人材派遣って…企業の下請けや仕事の丸投げみたいな感じですよね…」 森田の問いに英輔が答える。 「今はそうかも知れないけど…これからは違うぞ。企業の大半は人材派遣に頼る時代が来る。」 「はぁ…」 今一つ理解出来ない英輔。 「俺は人材派遣の会社を作ろうと思う。そこで神田を誘ったんだ。英輔も力を貸してくれないか?」 「…………」 返事に困る英輔。 「嫌なのか?」 不満げな森田。 「久しぶりに会って、いきなりの話ですし…」 (それに人材派遣って賃金をピンハネしているみたいで…) 英輔の悩む姿に森田が問う。 「英輔、今は年収いくらだ?」 「そんなに稼いでいないですよ(笑)所詮雇われの営業マンですから…」 笑ってごまかす英輔。 「資本金を百万出して年収一千万でどうだ!」 引かない森田。 「少し考えさせてください…それから僕はお金で動くような簡単な男ではないので…」 威風堂々と対応する英輔。 諦めたのか?森田は笑いながら言う。 「よく考えてくれよ、俺は英輔の人望を認めているんだから…」 その日はそれで別れた…
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