小さなサンタクロース

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でも、中学にあがって最初のクリスマスイブに、私は両親と喧嘩した。 両親がイブに私にプレゼントを渡した事がきっかけだった。 サンタクロースを信じていたかった私はあまりにショックで、イブの夜………家を飛び出したの。 それが、私の未来を変える事になるなんて……全く思っていなかった。 「お母さんのばかっ、お父さんなんかもう知らない!!!」 私は両親のプレゼントを受け取らずに、コートを羽織ると飛び出した。 ローストチキンやクリスマスケーキにキャンドル。飾りをつけたツリー。その全てが好きで憧れたのに、目の前で夢が壊れた瞬間だった。 家を出て泣きながら夜の道を歩いた。街中ではカップルや家族連れがとても楽しそうに歩いている。 惨めな気持ちだった。いつも行く書店にはクリスマスの絵本が飾られている。前ならわくわくして仕方なかったその物語も、今は見たくなかった。 どれくらい街中を歩いていたのだろうか。 気がつくと、店は閉店しだし、人々は居なくなり、街のイルミネーションだけがひどく存在感を放っていた。 私は街頭にもたれて頭を下げた。 「クリスマスなんか……嫌い。大嫌い………」 どうせ嘘だもの。私が信じていたものは全て作りもの。 サンタクロースなんてどこにも居ない……。 泣きそうになって、顔を歪めた時だった。 何か白いものが落ちてきて、私は空を見上げる。 「………雪だ……」 私は空に手を伸ばしてみた。ひどく冷えて寒かった。 手を伸ばしたまま、一人、街頭の下で目を閉じた。 シャンシャンシャン………… 「!?」 空から鈴の音が聞こえた気がして、私ははっと目を開けた。 でも、雪が降り続けているだけで何も見えない。 私がため息をついたその時だった……。 「メリークリスマス、小さなお嬢さん」 後ろから声をかけられて、驚いて振り返るとそこには……… 「初めまして。私は聖ニコス……サンタクロースだよ」 白い息を吐いて、赤い服と赤いとんがり帽子をかぶった、少し横幅の大きい人が立っていた。 その男の人は、私に向かって帽子を取るとお辞儀をした。 私は信じられずに口を開けたままぽかんとした。すると、そんな私を見て聖ニコスさんは目を細めて和やかに笑った。 「素敵なクリスマスを届けに来ました。さ、どうぞ。小さなお嬢さん」 聖ニコスさんは再び帽子を被ると、自分の後ろへ手をやった。 「!!!」
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