小さなサンタクロース

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「……さん。九条さん!!!」 「ふぇっ!?」 私はがばっと頭をあげた。目の前には私を睨んでいる担任の小山田先生。 しまった!!!私また寝てた!!?? 「HR中に堂々と居眠りとは良い度胸してますね」 「すっすみません!!!!」 やばい~~~~!!!!先生超怒ってる。 「いくら冬休みが近いからって、気を抜き過ぎですよ。しっかりしなさい」 「はい………」 私がうなだれると、先生は教壇に戻り、 「では以上でHR終わります。起立、礼」 先生が出て行くと、教室は途端に騒がしくなる。 後ろの席からボールペンで背中をつつかれた。私が振り返ると美加が不安げに話す。 「いっちゃーん。本当に大丈夫??何度も後ろからつついたんだけどいっちゃん起きなくて……」 そうだった。美加は私の後ろの席だった。 きっと何度も起こそうとしてくれたんだろうな……。 「ごめんね美加。ありがとう」 「ううん。でも最近のいっちゃんはなんかぼーっとしてるし、なんだか心配」 「大丈夫だよ!この通り私は元気元気!!」 美加を心配させまいと、精一杯笑顔で手振り身振りする。 ………本当はサンタクロースの準備で夜眠れてない、だなんて言えない!!! 美加はおずおずと切り出した。 「ねぇ、いっちゃん……何か悩み事でもあるの?」 「へっ!?」 「恋の悩みとか?私で良ければ相談乗るし、一人で抱え込まないでね!」 ………なんて素敵な子なんだろう。 「ん。平気。悩みとかじゃないんだ。ただちょっとやる事が多くて寝るのが遅くなっちゃうだけ」 「家の手伝いとか?」 「うんっ、そんなとこ」 そう答えると、美加は安心したように笑った。 「でも、無理はしないでね」 「うん!!」 「一花」 私が頷いた瞬間、華南が私の側に来た。 「HRも寝るなんてお前相当やばいんじゃない?」 「そんな事ないよ!今だけだし」 二人はうぅーんと顔を見合わせた。 「それより、ほら!二人はクリスマスで何か欲しいものとかないの?」 私が話題を変えようと切り出すと、華南が笑った。 「何が欲しいって。サンタを信じてるガキじゃあるまいしさ。でもそうだなぁ……好きな人が欲しいな」 「私はクリスマスに亮くんと過ごせればそれでいぃかな」 美加が楽しそうに笑って、華南が美加をこづく。 「出たな。ノロケてみろ。彼氏と上手くいってんの?!」 華南の問いに、美加が顔を赤く染めて嬉しそうにこくりと頷いた。
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