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「悪いけど、俺には"ご主人様"って呼んで欲しいとか
メイド服に萌えるとか言う趣味は全く無いから。
ついでに家事炊事も壊滅的みたいだし、はっきり言って邪魔。」
誕生日の時点では、すぐに帰るものだと思っていたが
どうやら彼女に帰る気は無い様子。
少々きついが、はっきり言っておいたほうが良いだろう。
「邪魔、ジャマ、じゃま・・・。」
よほど堪えたのか頭がぐらぐらと揺れている。
「でも、私、帰るわけには・・・。」
茫然自失状態のメイド。
かなり重症である。
仕方なくため息を一つ。
「わかった、とりあえず理由を聞こうか?
俺にはその権利があるはずだ。」
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「あれは、夏休みに入る前のことでした。
父の経営している会社が多額の負債を抱えていて
倒産寸前であることを知ったのは…。」
ダイニングの椅子に腰掛けて、ゆっくりと喋りだす。
「今までは、両親と妹とそれなりに円満に暮らしてきました。
ある日、親会社の重役がやってきたのです。
家族全員の前で、父の会社の負債のことを話されました。」
くすんと鼻をすするメイド。
「そして名刺を残していったのです。
私は、その重役の人に何とか便宜を図ってもらう為に親会社に乗り込みました。」
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