五島から佐世保へ

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早速五名は親類一同の応援を受けて五島の家を解体し、浜まで降ろして大きな帆船に五軒分の家を積み込んで、別れを惜しむ村人に見送られて船越まで持って来たのである。 そうして五夫婦、力を合わせて先ず一軒の家を建て、それに五家族寝起きして次々に五軒の家を建てたという。 一挙に書き上げれば簡単だが、これだけの事をやるには大変な事業である。家を解体して浜まで降ろす。住み馴れた郷を離れ、未知の世界へ旅立つ不安に、女達は肉親との決別の情も手伝って、それこそ泣きの涙であったろう。
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