五島から佐世保へ

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五島の方はともかく、船越に着いて解体した家を運び上げるのは大変な労力であったと思う。浜辺からおよそ二キロ以上の道のりであり、しかも五島とは逆に上るのである。応援の親類も五島のようにはいかなかったであろう。 その頃、車も無かった時代であり、車の通るような広い道でもない。肩に担いで登ったであろうことを思えば現代の若者では、とうてい考えられない壮挙と云わねばなるまい。 質実剛健の気性を養へ、忍耐強くあれ、質素を旨とすべし、昔の人達が修身の課程を地で行っていたのを思えば、唯々感嘆感服するばかりである。
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