五島から佐世保へ

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父達は一方ならぬ労苦を味わいながらも固い団結と協力のもとに、この船越へ居を構えたのである。 そのとき父が二十六歳、母が二十五歳であった。 五人の移住者の中では一番若かったが、結婚が早かったので長子は皆同じ年位の子供だ。勇兄さんとソノ姉さんは、ここで小学校に入学した。 五軒の家は一ヶ所に固まって建てた訳ではなく、動物園の玄関に当る所に父と成松氏が隣合わせに住み、それから五百米ばかり南に又堤という大きな池を過ぎた所に石作氏が、そこから更に二百米程南西に下がった所に人吉氏が、そしてそこから呼べば答える程の下手に仁三氏一家が居を構えた訳である。自分の小作地に近い所に住んだのだ。その間ほとんど他の家はなかった。
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