五島から佐世保へ

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「熊次郎は小(こま)か篭で担うて俺よりも銭が多かとは、どがん術ば使いよっとか」 と父によく言ったそうである。 このゴンゾウ時代にできた肩の担い瘤(こぶ)は四十余年を経た現在もなお直径十センチ余りもあろうか丼を伏せたように両肩に乗っかっている。人吉さんの瘤は父のより凄いそうだ。この瘤のため父は服を着ても着物を着ても何とも格好が悪い。 この父の凄い瘤を見ていると如何にゴンゾウという仕事が大変なものであったか今更ながら父の辛苦の固まりを見ているような気がする。
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