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いずれにしても私達の先祖の姿は霧の向こうのガス灯よりもボケてしまっている。しかし、家系のはっきりしていないことが現代の私達の生活に何等影響を及ぼすものでもなければ、知らねばならない義務がある訳でもない。
だが、私の子孫で後々、心ある者が先祖からどのような系譜で自分に至っているかを知りたいと思う人もあるだろう。そういった人達のために私の識っている限りを父の代からこの記録に残して参考な共したい。
それは、私の父が貧苦の百姓家に生まれ、幼いときから筆舌につくせぬ辛苦に翻弄されながらも誠実に生き耐えてきた尊い教訓を決して忘れてはならないと思う一念からでもある。
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