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数時間前。昼下がりの事。
「ぁづい」
椅子に座っていたサニー・ミルクは覇気なく呟きテーブルにデロリともたれかかる。彼女の体は今にも融解してテーブルと融合しそうであった───
「サニー…、あなただけじゃないのよ暑いのは」
「そうよ、皆で暑さを分かち合えば、きっと涼しくなるわよ。ほら、テーブルが“ひんやり"していて気持ち良いわよー…」
───彼女だけではない。
場所を同じくして他の椅子に座っていたルナ・チャイルドとスター・サファイアも、サニーと同じようにテーブルに吸い込まれそうになっていた。
季節は夏。その季節に嫌になるくらい相応しい天気で空を醸し出しているおてんと様。
とある三匹の妖精は魔法の森にある自分たちの棲みかであるこの家の中で、暑さに挫けて今にも溶けようとしていた。
外でじりじりとやかましく鳴いていた。その声が暑さを更に増長させているようにも思えたが、三匹には届かない。
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