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『至らない者には至らない者の理由がある…』などという 温情的な 確かな『悪』を定めない そんな理屈が通りすぎた そんな屁理屈の結論は 彼が悪いのではなく 家庭、学校、あるいは社会が悪いなどという 何が何やらわからない 成した悪の責任を無限に薄めていく結論だ そして、気がつけば『悪』が消える 確かに成された『悪』が煙の様に姿を消す バカバカしい なんだこれは? どう納得すればいいのだ? まるで手品ではないか 誰がどう考えたって悪を成した者が、ただ悪いのであって この話はもうこれで終わりなのだ それをどういうわけかバカ共が やれ、社会の歪みがどうのと宣ってイタズラに事を複雑にする いわゆる人権派とかいうヒューマニズム気取りの連中だ この日本では、いつの頃からかそういう訳知り顔の連中に支配されてしまった どうもそういう連中の方が理性的で冷静、かつ温かい文明人ということらしい 故にその逆、体罰賛成、死刑は当然、少年法など生温くて話にならぬというワシのような者は 悪を犯した者以上に悪人扱い だからみな、悪人に甘い現在の状況を変だと思っても腰が引ける 難しい問題などという 簡単な話なのに 要するに保身 ひどい人間と思われたくないだけなのだ 【課長】
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