7人が本棚に入れています
本棚に追加
すると,日下部がこう言った。「変化球はなにがある?」
オレは持っている変化球を全てこたえた。
「カーブ,スライダー,シュート,チェンジアップ,フォーク‼」
「わかった。じゃあ投げてみろ」と言い日下部は再びマスクをかぶった。
最初はカーブ。
左打者の内角に決まった。みんなの反応は…
一人の部員が口を開いた。「普通だな…」
次はスライダー。
カーブと同じところに決まった。
反応は同じく普通だった。残りの変化球を全て投げるも、反応は普通。ただコントロールは上手くいった。そして関西弁の部員が一言。
「なんね今の球。あんなの誰だって打てるで。」
すると日下部が口を開いた。
「言ってくれんじゃねぇか。そんだけ自信あんなら勝負しろ‼」
その言葉にグランド全体がどよめいた。
オレは瞬時に「勝てない」と思ったそのとき。
日下部が歩いてきてオレに耳打ちした。
「やつはシニア時代に4番を打っていて全国ベスト4になった男だ。だが一井、おまえのそのコントロールがあれば絶対に抑えられる。全力で投げろ‼」
その言葉を聞いて、オレは引くわけにはいかなかった。
そして、30分後の勝負に挑む。
最初のコメントを投稿しよう!