第一章 プロローグ

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締め切った空間のなか、山田 響太はぼんやりと携帯を握り締めていた。 学校から帰宅してから数時間、外に出ていないので分からないが、雨が降っているようだ。 定まらない視線の先にあるテレビ画面からは、最近流行りのお笑い芸人の声がしている。 もちろん見てはいないし、話は耳から抜けていくようなものだ。 今の響太の意識は握り締められた携帯に向けられていた。 一週間前から鳴らなくなった携帯は、響太にとって悩みの種だった。 もちろん、携帯が壊れて音が鳴らないわけではない。
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