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「へぇ?先輩を鬼呼ばわり
するとはなかなかの度胸だな?」
二つ結びにした髪を軽く
引っ張られる。
「こら!志紀!後輩いじめんな。
特に桃ちゃんは。」
ゴツンと強めの音がなる。
頭を押さえ痛がる桐谷先輩。
「あ、藤田(フジタ)先輩ー。」
「いってーな、棗(ナツメ)っ!」
彼は藤田 棗。
唯一、鬼に立ち向かえる人。
「桃ちゃんは今日も可愛いな。
で、どうしたの?」
よしよしと頭を撫でられる。
「ごめんなさい…。洗濯物、
乾かしてたら落としちゃって。」
ごめんなさい、とまた謝ると
藤田先輩はにっこりと微笑む。
「大丈夫だよ。
また洗って乾かせばいいんだし。
だから泣かないで、ね?」
「藤田先輩ーっ。」
なんて優しいんだ。
天使だ。
「ったく棗は、ばか蓮野に
甘いんだよ。」
鬼がいますけど。
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