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彼女は手術室の中に消えた
(神様…あの子を助けて)
必死に祈りを捧げる母親。
俺は手術室で彼女を見る。
『アル…エ』
彼女の声は、
もう、俺にしか届かない。
「……」
命の消えゆく者の声を
聞くのも死神の役目だ。
『ずっと、寂しかった…
体、弱くて
友達も、出来なく、て
でも、アルエと会えた
嬉しかったよ…
…お願い、
名前、呼んで…?』
「…花音…」
もちろん、
最期の願いを叶えるのも。
「…あり、がと
だ……き」
彼女は、
一筋の泪を流し
目を閉じた。
その顔は
幸せに満ちていた。
久原花音
享年 17
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