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外では喜びの声が上がっていた。
誰かが白いベッドシーツを振り回して、イタリア軍の降伏を知らせていた。
ホテルはドイツ軍の手に落ちた。
そして、スコルツェニィがムソリーニと会う時が来た。
ムソリーニはヒゲも剃らずグレイのスーツを着ていたが…
そのスーツはだぶだぶであった。
しかし…その顔には、喜びの色がうかんでいた。
スコルツェニィは直立不動の姿勢をとり、ムソリーニの面前に立った。
『ムソリーニ閣下!総統が私を派遣されました。
貴方は自由です!』
スコルツェニィの言葉は、しっかりとしたものであった。
『我が友である、アドルフ・ヒトラーが私を見捨てるはずがない』
そう言ってムソリーニはスコルツェニィを抱きしめた。
『スコルツェニィ君…ありがとう。君の働きに感謝する。』
ムソリーニはスコルツェニィを抱きしめながら、そう感謝の意を示した。
スコルツェニィがムソリーニと、この歴史的なやり取りをした時…時刻は2時30分を指していた。
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