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グラン・サッソにてムソリーニを救出し、ウィーンに着いたスコルツェニィは
諸々の雑務と、シュトゥデント大将への報告を済ませ、
ムソリーニが収容されているインペリアルホテルへと向かった。
ムソリーニは脱出行に疲れきっており…早々にベッドに直行していた。
だが、ホテルにスコルツェニィが到着し…部屋に着いた時。
電話が鳴った。
電話の主はヒムラーSS長官であった。
『スコルツェニィ大尉!良くやってくれた!!私は実に鼻が高い!総統閣下もお喜びである!』
彼の口調は…いつもの陰鬱な口ぶりと打って変わり…
明るく朗らかなものだった。
『は!光栄の至りであります!』
スコルツェニィはそう答えた。
『そろそろ着く頃だが…?』
『何がでしょうか?ヒムラー閣下?』
スコルツェニィが質問した瞬間…部屋のドアが開いた。
そこには…騎士鉄十字章を付けた、陸軍大佐がいた。
彼は首にかけていた騎士鉄十字章を外し、スコルツェニィの首にかけた。
『これは総統の命令である!』
彼はそう言って説明を始めた。
この勲章は…この日、彼に授与されたものだったが…
ヒトラーがスコルツェニィの働きに感銘を受け…
その功に報いるため…
彼に授与した勲章を…スコルツェニィに与えるという、異例の措置がとられたのであった。
『これは前代未聞の事だ!君の功績は絶大だった訳だよ、大尉!』
その大佐は興奮覚めやらぬ面持ちで言った。
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