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結局、6人の将校がヒトラーの個室に招き入れられた。
部屋の調度類は簡素なもので…
中央に置かれたテーブルの上には、地図が数枚と、図上演習用の砂盤があった。
程なくして、ヒトラーが部屋に入って来た、直立不動の姿勢を取ったスコルツェニィ達を…少佐の階級章を付けた軍人が一人ずつヒトラーに紹介した。
そして…一歩さがったヒトラーは、6人全員を見据え、こう言った。
『この中でイタリアに行った事がある者は?』
答えたのは、最年少のスコルツェニィだけであった。
『イタリアには二度旅行しました、オートバイでナポリまで行った事があります』
それを聞き…ヒトラーは頷いた。
『では諸君!イタリアという国を…どう思うかね?』
このヒトラーの問いに…スコルツェニィ以外の五人はありきたりの答えしかできなかった。
そして、スコルツェニィの番が来た。
『スコルツェニィ大尉、君はどう思う?』
ヒトラーの問いに、スコルツェニィはこう答えた。
『総統、私はオーストリア人です』
と、彼はしっかりとした口調で答えた。
ヒトラーは、しばらくスコルツェニィを見てから…こう言った。
『スコルツェニィ大尉…私は君と話がしたい。
他の者はご苦労だったな、下がって宜しい』
ヒトラーはスコルツェニィを選ぶ決心をした様だった。
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