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のりおは…自作の催涙弾により観衆を撹乱させた後、少し遠くの公衆トイレまで自転車で疾走…メイクを落とし服を着替えてまた疾走しとりあえず自宅へと辿り着いた…。
「「出撃」道具としてネットで調べて作った催涙弾が…まさかここで役にたつとはな…フハハハ…」
彼は玄関でへたれこみ気の抜けた一人言を呟く。
そして4畳の小汚い部屋に上がり、テレビをつけた…時間は5時、夕方のニュースである。
「…今日午後3時頃、渋谷路上で日ポンテレビ某番組の人気コーナーを担当しているファッション評論家でデザイナーのドン小杉さん32才が、番組のコーナーでインタビューした男にギターで殴られ、気絶させられ更に暴行を加えられるという事件が起こりました。
男は顔に白塗りメイクをし、小杉さんのインタビューの際にいきなりギターを弾いて叫び、奇妙な歌を歌い、その後小杉さんと軽い口論になり、男は一連の暴行を加えた後、自作の催涙弾のようなものを投げて自転車で逃走。
警察では最近、東京各地の駅前付近でも同様のギター暴行事件が相次いでいることから、同一犯の犯行として捜査をしています。
この事件の一部始終は全国に放送されていましたが、日ポンテレビは事件を映し続けた番組カメラマン2名を懲戒免職するそうです。小杉さんは現在も意識不明で…」
…
…
のりおの背中にじわりと冷や汗が浮かぶ…。
「……ヤバい…俺指名手配だよな…どうしよ…もう下手に「出撃」できねーじゃねーか…俺の警鐘は全国に広まったけどさ…俺犯罪者扱いじゃん…だいたい悪いのは小杉で…猿ぐつわで…ああもうどうすりゃいい!?」
のりおは絶望した!!彼の存在を認めない世の中に…勝手に絶望した!!
どのみちこれから彼が警察にマークされることは確実であり、実質彼は「出撃」の権利を…奪われた。
「はわわわああ嗚呼…俺の野望は…ROCKで世界を変える野望は…所詮無理だったのか?ていうか俺…日本を良くしようと警鐘鳴らしてやったんじゃねーか…何で俺が悪?小杉殴ったくらいで悪?ふざけんじゃねぇ…悪はアイツだろ…畜生…やっぱこの世界狂ってる…」
狂っているのはお前だ。
のりおはしばらく項垂れていたかったが、そうはいかなかった。
いよいよ所持金が尽き始めてきたのだ…。
このままでは彼は確実に生きていけない。
のりおは現実を見据え…生きる為にバイトを始めることを決意した…そして絶望した…
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