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吐いて酔い潰れた寅泰をよそに、のりおと智也は血まみれのヤクザに近づいた…。
ヤクザの頭、腕から血が大量に出ている。
「……やっぱヤりすぎた…俺いつもこうだ…嗚呼ッ」
また自己嫌悪だ。
のりおは「出撃」の後も暴力の後も結局何も変えられない「自分自身」と向き合う。そして空しい所業を繰り返す自分を呪う…。
「……こんなヤクザ殴って…俺は満足か?違うッ…俺はただ怒りに任せて行動しているだけ…「理念」も「ROCK」も糞もあるかッ…こんなんじゃ…世界「変」えられる訳…ねーだろ…自分も抑えられないような…情けない俺の「ROCK」じゃ…ッ」
落ち込むのりおの肩を智也が叩いた。
「…青山さん。抑えられない感情なんて…誰にでもあるモンですよ。そんな感情があるからこそ…青山さんはROCKで世界を変えようとしてるし…俺等も青山さんに惚れたんじゃ…ないすかね…」
慰める智也。
「…そんなモンなんかね…俺もよくわかんね…」
「まー今やる事はコイツをどうにかする事ですね…出血多量で…放っとくとマジ死にますよ…とりあえず止血だけでも…」
智也は店の救急テープで手際よくヤクザの頭と腕を縛り、止血した。
「……上手いな」
「昔…ボーイスカウトで学んだんすよ…意外と役に立つモンですよね…」
そう2人が喋っている時、ヤクザが動きだした…。
「…う、ウガァ…痛ェ…て、テメエ…クソがッ!!!」
ヤクザが立ち上がりのりおに襲い掛かる。
トスッ
智也がヤクザの首を手刀で素早く尚且つ軽く叩いた。
「ぷぎゃッ」
ヤクザはまた倒れ、気絶した。
「…ふう。とりあえず手足縛って口ふさいで外ににでも…投げときますか…」
…のりおは、あんぐりしていた。
「………」
「あっ…青山さん。因みに俺…武術も…古武術だっけ…昔やってたんすよ…まー…親父にやらされていたっていうか…」
「……君、何でも出来るんだね…」
感心だか呆れたのか分からないのりおをよそに、智也はヤクザを縛り、裏口から外に放りだしていた。
「…疲れましたね…寅泰も寝たみたいだし…俺も寝ます。おやすみ…ンガァ…」
倒れ込んだ智也は、そのまま眠りについた。いつのまにか寅泰も寝息をたてていた。
(…確かに疲れたな…色々あった1日だった…でもなんか…コイツ等となら…これからどうなるか…分からないがッ…世界をッ…もういいや寝よ)
のりおも倒れ、眠りについた。
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