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「……おやまさん。…青山さんッ」
「ンッ…お」
長い夜が明け、のりおは智也の呼び掛けでゆっくりと目を覚ました。
「…青山さん。突然ですが…今からすぐに逃げましょう…。今5時半…もうすぐシフトの人が来ます…」
「んぁッ…ハァッ!?」
のりおの目が一瞬で覚めた。
店を見渡す。
荒れた店内。
のりおが商品を鞄に詰め込んだ為スッカスカの商品棚。
血まみれのレジ前の床。
飲み散らかしたビール缶。
付近に散乱する寅泰の吐いたゲロ。
…最悪であった。
「…失敗しましたね…元はと言えばコイツが「ちょっとぐらいならバレねー」とか言うから…まー飲んだ俺達も悪いんですがね…オイ…起きやがれ寅泰」
智也がアキレス腱固め?を寅泰にかけた。容赦なく。
「あ…痛デデデデデッ!!うおッぎ嗚呼ッ!!!」
悲鳴を上げて起きた。寅泰が。
「うあッ…痛ってぇなァ!!何だよ!!あ…頭痛ェ…足も…」
「…やっと起きたか。今すぐ逃げるぞ寅泰。…バイトはもう首だ…」
「は!?まだ給料もらってねぇのに…何で?…てか頭痛ェよ…何で俺等コンビニにいんの?」
寅泰は昨夜のことを完全に忘れていた…。
「…お前…店滅茶苦茶にした上…金まで貰う気か?それとも…自首するか?」
「え…コレ…俺等が飲んだの!?ヤバくない!?何で!?記憶ねーよ!?じゃ逃げるしかねーじゃねーかー!!」
…寅泰もまた救えない馬鹿だった。
そんな中コンビニのシャッターを叩く音と人の声が聞こえてきた。「オイ24時間だろここ!」
「誰かいませんかー?」
「…ヤバい。人だ…青山さん…寅泰…店を片付ける暇はなさそうです…店長が来る前に裏口から…逃げますよッ!」
智也の一言と共に裏口から3人は抜け出し、コンビニから脱出した…。のりおは食料を詰め込んだバックとナイフだけはしっかり持ち帰った。
(…結局お金ないなぁ…これからどーすっかな…バイト)
かくしてのりおは無一文のままバイトを止めることになった。
しかし、確固たる同志寅泰と智也を得たのりおは、世界を自分のROCKで「変」えるという野望を更に強く決意した…。
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