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拓乃郎が発狂している…。
そんな中。
のりお達はコンビニから3キロほど離れた駅前にたどり着いた。
「ハァッ…ここまでッ…くればッ…大丈夫…かッ…はッ」
のりおは息も絶え絶えに足を止めた。
寅泰、智也も足を止めた…が、寅泰はゲロを吐きそのまま倒れた。
「ヴオェェ…嫌…もう無理…」
一方で智也の方も流石に疲れを隠せない様だ。
「はッ…どうにか…逃げてッ…うハッ…暫くはッ…あのコンビニの前…通れねぇな…」
疲弊しきった2人を他所に…のりおは顔を上げた…。
「ふぅ…ンッ!?」
のりおは正に
「強烈」な
モノを見た。
掲示板に…自分の「顔」が貼られていた。メイクで白塗りではあるが…それは紛れもなく「青山のりお」そのものであった…。
暫くの静寂の後…のりおは語りだした。
「へッ…コレ見てみろよ…お前等…」
寅泰と智也はのりおの言葉に顔を上げ、「コレ」を見た。
「……」
ついさっきまでゲロを吐き息を切らしていた2人が、無言で立ち尽くした…。のりおが警察に目をつけられている事は重々承知の2人ではあったが、実際にソレを見ると…流石に動揺を禁じ得ない様子であった…。
「…黙っちまったか。無理もねー…俺もコレを見たのは今が初めてだ…寅泰、智也よ。俺等はまだ出会って半日も経たない…お前等が俺と世界を「変」えたいと決意してくれたことは昨日既に知っている…だがしかし、俺の現状はコレだ。指名手配だ。うろたえた様なら…今なら引くことも可能だ…。これは…お前等に放つ俺からの「警告」だッ…」
のりおは真摯だった。
もう引き返せない自分…引き返したところで生き甲斐のROCKを失い何も残らない空しい「人生」が残るだけだから。
そんな思いがのりおにこの「警告」を語らせた。中途半端なことはしたくない。半端な覚悟で2人の人生を台無しにして欲しくない。不器用なROCK青年のりおの甘さ、優しさであった。
…沈黙していた2人がのりおの「警告」を聞き、口を開いた。
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