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「さーて、スタジオいつ入りますか?のりおサン?とりあえず曲作んなきゃ!」
「…大丈夫ですよ。俺も寅泰も、そんなのりおさんだからついていくんです。これから頑張りましょう。」
二人の口からは非常に頼もしい言葉。
「お前ら…本当にいいのか?俺は金もないし学もないしついでに女もいない。しかも月末には家も失い何にも無くなっちまう男だぞ!ケーサツにも追われてるんだぞ!本気なのか!」
「だーから大丈夫だって言ってるじゃないすか!もう!」
「…金がないのなら俺らのアパートに当分の間居候しても大丈夫ですよ。」
「…マジすか?」
揺らいでいたのりおの心が動いた。「居候」の二文字と共に。情けない男である。
「そうっすよ!しばらくの間のりおサンには居候してもらって、俺らのアパートをバンドの拠点にして活動しましょう!」
「…のりおさん、俺達は本気です。本気と書いてマジと読んじゃいます。プッ…」
「自分で勝手にツボに入ってんじゃねぇ!」
のりおは、運命を感じ打ち振るえた。
コンビニのバイトをするつもりが、自分の渋谷での「報復」を見て、あろうことか尊敬の念を抱いた二人の若者との出会い、運命を感ぜずにはいられまい。正直下宿先が見つかったという下心もあるが。
遂にのりおの口が開いた。
「よろしく頼む」
ここに世の中を変えるべく、青山のりお率いる新バンドが結成された。ここから日本のパンクシーン、ひいては世界のパンクシーンにも影響を及ぼしていく、青山のりおという男の伝説が始まったのである。
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