...対面...

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屯所を出て見回りをする。 沖田にとって隊士たちは正直邪魔だった。 ので、あるていどのところで 「皆さん、何もなかったようですので戻ってください。 私は軽く見てから行きますので。」 沖田のその言葉に何も疑わず屯所へと戻って行く。 道に1人となり、また歩き出す沖田に微かな悲鳴が聞こえた。 「ぐあぁぁ!!」 沖田は刀に手をかけつつその声の方へと駆けた。 そして。 そこに広がる光景に息をのむ。 おそらく7、8人分の死体と大量の血。 その中心に立つ人。 その着物に血は一滴も付いていない。 死体を見下ろす隻眼は冷えた目をしていた。 そしてその人の顔は…中性的。男にも見えるが女にも見える。 その場の雰囲気に、 いや音霧に見とれたのか沖田は目が離せなかった。 ふいに音霧は視線を感じ振り向く。そこには浅葱色を見に付けた男。 「壬生狼か。」 その男性にしては高め、女性にしては低めの透き通った声に沖田は意識をもどす。 「あなたが闇音さんですかー?」 この場に似合わない間延びした声にこいつは馬鹿かと思いつつも 沖田が強いと感じたのか、普通にこたえる。 「俺が闇音だが?それがどうした」 「あはは、私は壬生浪士組の副長助勤の沖田総司と言います。 私、上司に捕まえて来いと言われたんですよねぇ」 何だこいつは。ふざけてんのか。 そう怒鳴りたくなる衝動を音霧は抑える。 「俺が行くと思うか?」 思いませんね、とニコニコと笑う沖田。 「聞いてもいいですか? 何の目的で殺してるんですか?」 まだ いい、と許可してないだろ。と内心ではツッコむ。 「依頼だ。俺は私情で人は殺らん」 沖田はそうですか、と返事をして こちらに来ないか?と誘うが 音霧は断る。と即答した 「俺は幕府やら攘夷やら佐幕やらどうでもいいんでな。」 「それでもいいんで、とりあえず来てみましょうよー」 ウザい。限りなくウザいこの男。黙らせたい。 しかし音霧の中で壬生狼の、鬼の顔でも拝んでやるか、と好奇心にも近いものがわきあがる。 好奇心に負けた音霧はコクリと了承した。 「…お前らに興味があるから行くだけであって そちら側に着く気は微塵もねえからな」 沖田はぱぁっと笑う。 相当嬉しいらしい。まあもっとも あわよくば刀を交えたいという気持ちからだったのだが。
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