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その部屋の中は煙かった。
部屋の住人だと思われる煙管を咥えた男。
それが妙に様になっていて普通の女なら見惚れるだろう。
普通の女なら。
音霧は普通ではないし、今は女とも男ともとれる容姿。
「何だ、総司。
あぁ?誰だこいつぁ??
まぁた変なもん拾ってきやがったのか!!!
で、人斬り闇音はどーした」
矢継ぎ早に話すその男を沖田はサラッと流し重大発言。
「この人が闇音です。土方さん」
土方、その名前に聞き覚えのあった音霧は記憶の中を探る。
すると真風が言っていた壬生狼の副長だったと思いだした。
「……副長の土方??」
ぼそっと尋ねると沖田が
そうですよー。良く知ってますね!!などと呑気に答えた。
「ちょっと待て。
おま、連れてきたはいいが、
ホントにこいつなのか??」
疑いたくなるのも当然だ。
華奢な腕、肩に女にも見える容姿。
「ホントですって。
私が行ったときに8人くらいの死体がありましたもん」
信じてくださいよー。
ぷーっと口を膨らませる沖田を音霧は冷めた目で見る。
土方は沖田のことを信じていないわけではない。むしろ信じている。
しかし目の前の奴は返り血ひとつつけずにここにいる。
そうとうの手練だ。
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