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「近藤さん、入るぜ」
ガラリと入ると幹部たち。
土方は沖田に目をやるとなぜか誇らしげにいしていた。
土方がまた音霧に尋問しようとした、その時。
「おとぎり…?音霧なのか?!」
近藤が声を上げた。
「音霧っっ?!」
近藤の声に反応し立ち上がったのは山南、藤堂、永倉、原田。
部屋の片隅にいた斉藤も音霧の姿をとらえるとわずかに目を見開いた。
「音霧ーーー!!久しぶりじゃないか!どこにいたんだ?なぁ!」
はしゃぐ近藤を見て、音霧はため息をつく。
「…落ち着けよ、勇。
敬介さんも、平助も新八も左之助も久しぶり。
…一も、久しぶり、か?」
再会を喜ぶ男たちと音霧。
そこに水を差したのは、
もちろん土方。
「こいつと知り合いなのか?」
説明しようとする近藤を制したのは音霧。
「勇と会ったのは…いつだったか、江戸でか。
新八と左之助もだな。
敬介さんと平助は北辰一刀流の道場で、か。
一は…一年くらい前、旅籠で居合わせたな。」
説明し終わったところで近藤が場違いな発言をする
「何でここに音霧がいるんだ?」
………思わず土方はため息をついた。
「こいつが…人斬り闇音だからだよ、近藤さん」
一瞬にしてその場が静まった。
「本当なのかい?」
優しそうな声音で聞いたのは副長である山南敬介。
「敬介さん…皆にも言っただろう?
俺はこちら側から離れられない。」
「…誰を殺しているんだ?」
今まで存在を感じさせないほど無口だった斎藤が尋ねた。
「ん?標的の話?
依頼によりけりかな。
依頼主が殺せと言った奴らを殺しているだけ。
俺は基本的私情で斬らん」
それはそれで厄介なのだ。
特定の誰かに仕えるでなく
依頼ときた。
つまり主を、誰かに仕えることは嫌いなのだろう…。
あわよくばこっちに引き込めないか…と考えていた土方は、ため息を再度ついた。
「土方?」
音霧が呼んだ
「俺を引き込もうとしても無駄。
今日沖田に着いてきたのも、壬生浪士組に興味があっただけ。
勇たちがいると思ってなかったけど」
チッ…本当に厄介だ。
土方は引き込むことをあきらめた。
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