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「…来るなら来るでいいけどさ…
実津屋の霧(キリ)で指名しろよ?間違っても音霧なんて言うなよ。」
遊女のための名前が霧。
仕事用の名前が音霧なのだ。
音霧を指名する、なんて言ったら人斬りの依頼をしにきた壬生狼なんて思われるのだ。
「なぁなぁ、音霧!
お前はいつもいるのか?」
興奮気味で聞いてきたのは永倉。もう、実津屋に行くのが楽しみで楽しみでしかたないようだ。
「あぁ、大抵はいる。
仕事が入らない限りはな。」
よっし、じゃあ今度行こうぜ!と騒ぐ永倉と原田を横目で見て音霧は苦笑したのだった。
全く…この二人は変わらない…。
「平助…変わらねぇな。こいつらは。」
隣で呆れたように見ていた藤堂に言うと、
「でもそこが、しんぱっちゃんと左之さんの良い所でしょ
?」
と言われ面食らってしまった。
「変わらないものがあるっていいことですよ?」
山南の優しげな声が耳に入るものの、
音霧―!!と騒ぎ呼ぶ声に返事をするときを見失い、
山南に向けて
口の端だけを少し上げて笑ってみせると山南もふわりと笑った。
また、その騒ぎの中で
「私たち存在感ないですね」
「あぁ…」
と沖田と土方が話していたりしていた。
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