...依頼...

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次の日。 やはり音霧の言ったとおり依頼主は来た。 「やぁやぁ、仕事が早いんだね、音霧さん、いや闇音は。」 あれ、そこにいる人は?と尋ねる。 「…私の忍。報酬は?」 依頼主の男はおもむろに懐に手を入れて重そうな袋を出す。 「これでいいかな?」 十分すぎる報酬。真風は中身を確かめて音霧に伝えた。 音霧はいいと真風に伝えると真風は男に頷いた。 男は不意に懐かしさを覚える。この喋り方に声。どこかで聞いたこと、いや知っている人だ。 男がうーん…と悩んでいると 「用が済んだのなら帰れ。 情報を漏らしたら殺す。」 いつもは音霧が言うセリフを真風が言う。 そう言われて居座ることもできず帰る男。 「危なかったな。 俺を思い出そうとしていたんだ。」 すぐに喋り方をもどす。 「音霧。 今日も依頼が入ってましたよね?」 あぁ、と言うと真風は思案顔。何かあるのだろうか。 「俺をつれては…」 「行かないに決まってんだろ」 真風の提案もすぐに却下され、真風はさらに悩む 何だ、と音霧が気になって尋ねる。 「…今日は嫌な予感がするんです」 真風の予感はよく当たる。 それは真風も音霧も知っている。 しかしこれは依頼。 断るわけにも日を改めるわけにもいかない。 まぁそんな気は音霧には皆無だが。 「俺がやられると思ってんのか?」 真風は小さくいいえ、と返す。 「大丈夫だ。俺を信じろ。 お前をおいて逝かねえよ」 くっくと窓越しに月を背にして笑ってる音霧は美しかった。 「大方、壬生狼が来るんだろう? 知り合いだったらバレないようにしねえと。」 真風の心配はまさにそれ。 壬生狼か長州が来そうだから。もちろん音霧が負けるとは思ってはいないのだが。 「心配無用だ、真風。」 真風の頭を撫でながら言う音霧。その顔はかすかに微笑んでいた。 渋々、真風も了解した。 後ろからついていこうかとも考えたが、音霧にはバレてしまうだろう。 諦めるしかなかった。
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