序章『北キツネ物語』

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道行く人々が、好奇の眼差しで俺を見ている。              自然と道も開く。 確実に人類最強に近づく。 ただ一人、道をあけなかったオッサンが居た。 酔っ払いである。 ムカついた俺はやや威嚇しつつ、オッサンの腹肉を鷲掴みにして、上下連動を繰り返し『アブトロニック!アブトロニック!』と絶叫。 オッサンは腰を抜かして尻餅を付く。              後ろからお巡りさんが二人走って来た。 誰かが通報したようだ。 しかし人類最強を自負する以上、国家権力などにひれ伏してはならない。              俺は『逢いたかったよアンソニー!』と叫びながら警察官二人組にフライングクロスチョップをブチかます。           片方が吹っ飛び、もう一人はドミノ倒しの要領でブッ倒れた。              もんどり打つ警察官を背に俺は、『テッセヴー、テッセヴー』と呟きながら路地裏にフェードアウト。              路地裏で、まだ眼も開かぬ捨て子猫が入った段ボールを見つけた。              子猫を抱き締め俺は泣いた。
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