第1話

11/14
前へ
/215ページ
次へ
「フレームコールッ! タイガー・フレームスタンバイッ!!」 「了解♪」 「フレームパージッ!!」 バシュッ!! レオンゼロの胸部から、ゼロ・ファイターが勢い良く迫り出す。 ブースターをふかすと、上空に舞い上がるゼロ・ファイター。 それを攻撃目標に捕らえたR-9が、銃を構えつつゼロ・ファイターを追う。 と、急に謎の影がゼロ・ファイターとR-9の間を横切る。 全身を茶色でカラーリングされた、タイガー・フレームだ。 やはりその胸部には、ぽっかりと空洞がある。 「合体ッ!!」 ガキィッ!! 背中から機体を空洞に向けて突っ込ませるゼロ。 ゼロ・ファイターはやはり、最初からそこにあったかのように、すっぽりとタイガー・フレームに納まると、その機首を90度下方に折る。 「ドッキングコンプリートッ!!『タイガーゼロ』起動ッ!!」 ヴンッ! 瞳に、光が宿る。全項はおよそレオンゼロと同程度。 背面のスラスターを展開させる。 その様はまるで獲物を狙う鳥が、翼を広げた姿を思わせた。 「あれは…伝説の勇者の一人、『侍』だったかな」 「は、はい。タイガーゼロ。陸戦、空戦、0G戦を想定して造りました。  私達が荒野で見つけた奇妙な機構の戦闘機…  実はこうやってフレームを着せ替える事で、全く別の特性をもつ機体にすることができるんです」 依然、顔を赤くしたまま、なぜか敬語でダイアスの言葉に答えるミズキ。 「陸戦?0Gや、空戦専用機ではないのですか?  あのスラスターは」 「ん~、でもあの機体が十二分に活躍できるのは、やっぱり陸上なんだよね」 「何故?」 ミズキの言葉に、首をかしげるエル。 「だってあの機体、マイトの属性が土なんだもん」 「な、なんだと!?」 しれっと答えたミズキに対して、ダイアスは驚愕の声を上げた。 ヴァシュウウッ!!! グリップを目いっぱい押し込み、弾かれたようにタイガーゼロは、地面に向かって急加速する。 ソレを追って5機のR-9が追撃する。 「あれをやる気だな隊チョー!」 「だな」 ロイとライアンは不敵に笑い合う。 タイガーゼロもR-9も以前、その速度を落さない。 R-9はAIが操縦を行っているので、恐怖というものが無い。 地面が近づいてきても、その速度は落さなかった。
/215ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加