第1話

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200メートル、100メートル、50、30、20・・・! 「ここだっ!!」 ッダアアン!!!! 激突の瞬間、グリップを手前まで引くと推力を前面カット。 地面を思いっきり殴りつけ、体を無理矢理横向きにさせる。 「いけえっ!!」 再びグリップを最奥まで押し込むと、地面スレスレを超高速で飛行する。 機体を振り向かせ、R-9を見るタイガーゼロ。 R-9の内1体は、切り返しきれずに地面に激突、大破する。 「あの機体!隊チョーの動きに完全についてってるぜ!?」 「あの調子で振り回されたら、R-9程度では大破するのも頷ける」 ナイト1とナイト2は、呆れたようにタイガーゼロを見た。 一体目の後ろについていたR-9はあらかじめ飛行速度を調整し、 地面スレスレを滑空するタイガーゼロの後を追う。 「狙い撃ちだ!」 左手をかざすタイガーゼロ。 すると左手から上下に二本の角が立ち上がり、光の弦が角二本を繋ぐ。 「ホークボーガンッ!!」 タタタタタタタッ!! ホークボーガンから無数のエネルギーの矢が発射される。 そして追ってきた先頭のR-9二体のボディに、雨のように突き刺さる。 「び、びっくりしたあ。さっきからキャラ変わってますよ准将~!」 「馬鹿な…!人間が持てるマイトの種類は一つだけのはずだ!何故『雷』と『土』が使える!?」 「!考えてみたら!パイロットの特性が変わるわけじゃないから、特性が変わる機体って言っても、通常の人間には使えないはず!?」 ダイアスの言葉に、ハッとなるエル。 そんな二人に向かって、ニヤリ、と笑うミズキ。 「戦闘機の本当のフレームは…、大破したのか、近くにはそれらしい残骸がなかったけど、多分属性が一つだったんでしょ。  あの機能は、ゼロ用に私が後付けしたものなの」 とはいえ、属性が変わっても問題なく機能するあの戦闘機のエンジンは、何やら特殊なもののようだが。 しかし、特筆すべきはそれらを使いこなすゼロの能力だ。 「普通じゃないんスヨ、ゼロは。」 <ベアーガントレットォッッ!!> モニターの向こうでは、拳に装填された無骨な手甲でR-9を撃破するタイガーゼロの姿が見える。 暴走や精神崩壊の兆しも見えない。 ゼロは、完全に属性の違うフレームを制御している。
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