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十五年前。
火星はその昔行われたテラフォーミングによって、その環境を限りなく地球に近づけられていた。
その大地には数多くのシティが設けられていたが、
500年戦争の地質レベルでの傷痕が思ったより深く、1000年たった今でも、土のマイトによる復旧中のエリアがあるほどだった。
壊すのは一瞬でも、それを修復するには、長い長い年月が必要なのだ。
そんな復旧中のエリア――シティより少しはなれた荒野を、二人の少年少女が歩いている。
「ねえ…もうかえろうよお」
「まだ!もうちょっといくの!」
彼等は幼き頃のゼロとミズキ。
勝気なミズキに強引に手を引かれ、荒野を進むゼロ。
あまりシティから離れないようにと親に言われていたのに、かなり離れた所まで来てしまった。
「もうかえろうよう」
「…」
「?どうしたのミズキ?」
急に歩を止めたミズキを、ゼロは不審に思い声を掛けた。
だがミズキは、ゼロの言葉に全く反応しなかった。
「ミズキ?」
「ねえゼロ…あそこ、なんかひかってみえない?」
「?」
言われてミズキの指差す方向を見るゼロ。
よく目を凝らしてみると、荒野のある一点に、確かにうっすらと光を放っている所がある。
「な、なんだろうあれ」
「いってみよ!」
「あ、まってよミズキ!!」
駆け出すミズキを慌てて追いかけるゼロ。
小さい体で必死に走る二人。
あまりに必死に走った為に、どれだけ走ったかなどさっぱり思い出せなかった。
とにかく走った。ひたすら走った。
最初はミズキに引きずられる形だったゼロも、今やミズキを追い越さんばかりの勢いで走り続けていた。
走りに走り続け、やがて光の元へたどり着く事ができた2人。
体いっぱいに息を吸い込み、むさぼる。
「はあ、はあ、はあ~!」
「けほ、ちょ、ちょっとがんばりすぎちゃった?」
「…」
恨みがましい目をミズキに向けるゼロ。
あははと笑ってごまかしつつ、光の元を凝視する。
「…!」
「!こ、これって…」
ミズキに続いてゼロもそれを見る。
そして、2人とも息を呑んで動きを止める。
そこには…
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