第1話

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「…」 今日まで自分がやってきたことは、すべて今日この日のため。 決して自分の期待を裏切るような結果にはならないだろう。 そこまで、自分を高めてきた。 武術を修めたりもしたし、筋力トレーニングを欠かしたこともない。 AI如きに遅れをとるようなことは、断じてない。 グリップを握る手を、閉じたり開いたりする。 <あ、またそれやってるね> ビジョンに映るミズキが、ゼロの手を見つめて苦笑する。 「昔からのくせだからね。出撃前にも、気が付けばいつもやっている」 ゼロもまた、苦笑でミズキに返す。 <大抵不安な時とかにそれやるよね。初めて飛んだときとか。  だいじょーぶ!ぜえったいうまくいくってば!天才パイロットさん♪> 苦笑し、頷くゼロ。 目を瞑り、深呼吸。 深く深く息を吐き出し、そして一気に息を吸い、体の中に留める。 力強くグリップを握り締める。 「行くぞ!!ゼロ・ファイター発進ッッ!!!!」 グリップを押し込み、弾かれるように空に向かって発進する白い戦闘機、『ゼロ・ファイター』。 すぐさまそれを攻撃目標に認定するイレイザー。 手に持つマシンガンをゼロ・ファイターに向かって乱射する。 それらを巧みにかわすゼロ。 「もらったっ!!」 イレイザーの背後を取ると、翼についている機銃を発射するゼロ。 見事に背後を打ち抜かれ、沈黙するイレイザー。 「たいした運動性だね」 ふむ、と顎下に伸びる白ひげをさすりつつ言うダイアス。 その眼つきは、いつもの柔和な眼つきではなかった。 戦闘を指揮する、一将校。そんな感じだった。 「まだまだこれからッス!」 そんなダイアスに向かって、ミズキは意味深げな含み笑いを漏らした。 <ミズキ!!フレームコール!!ライガー・フレームスタンバイッ!> 「了解ッと♪」 ゼロからの通信が入る。 待ってましたとばかりに、今回ミズキ用に用意されたコンソールを、目にもとまらぬ早さで操作するミズキ。 「フレーム選択…『ライガー』!射出ッ!!」 ミズキの操作により、傅いていた人型機体の内の一機が背面ブースターを点火、ゼロの戦闘機に向かって猛然と接近していく。 ゼロは機体を旋回させ、動き出した無人人型機に近づいていく。 無人機の真後ろにゼロ・ファイターを接近させるゼロ。 無人機『ライガー・フレーム』の胸部には、ぽっかりと空洞が空いている。
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