第1話

9/14

25人が本棚に入れています
本棚に追加
/215ページ
「合体ッ!!」 ガキィッ!! 背中から機体を空洞に向けて突っ込ませるゼロ。 ゼロ・ファイターはまるで最初からそこにあったかのように、すっぽりとライガー・フレームに納まると、その機首を90度下方に折る。 「ドッキングコンプリートッ!!『レオンゼロ』起動ッ!!」 瞳に、光が宿る。全長25メートル前後の巨大人型兵器だ。 派手に土ぼこりを巻き上げ、イレイザーに向かって構えを取るレオンゼロ。 「が…!?」 「合体だと!?」 驚愕する一同を尻目に、腰に装着された、身の丈ほどもある巨大な片刃のロングソードを抜き放つレオンゼロ。 「レオンブレイドッ!!」 ゼロがそう叫ぶと同時に、刃の表面に黄色く光り輝くエネルギーの刃が出現する。 「あれは秘術兵器(マイトアームズ)か」 「ご名答♪」 1000年前の500年戦争より、更に前に人類が発見した画期的なエネルギー流用法。 マイト。 大戦以前に、世界中、宇宙中に大量に振りまかれたドリームミストという特殊な粒子に、 人間の持つ体力と精神力をブレンドしたエネルギー、『マイト』を反応させ、その姿、形、はては性質までも多種多様に変化させる秘術。 どんな人間も全く同じ力が発現するわけではない。 その人間、個人個人によって『火』、『水』、『土』、『風』、『雷』、『無』のいずれかの属性に大きく分けられる。 レオンゼロのレオンブレイドは、パイロットの雷のマイトを刃に伝えた兵器なのだ。 レオンブレイドを油断なく構えるレオンゼロ。 イレイザーもレオンゼロを警戒し、マシンガンを構えたまま動かない。 「しかし…何故『ライガー・フレーム』に『レオンゼロ』なのだ?」 全身を、黄色に装飾された機体。 しかし特別、獅子をあしらった装飾などは、一切見当たらない。 <ミズキの趣味ですよ。ミズキは『伝説の勇者オタク』ですから> 「う」 ゼロの通信に、みるみる顔が赤くなっていくミズキ。 「なるほど、伝説の勇者をイメージした機体なのか」 ふむ、と微笑みながら、納得した表情を作るダイアス。 伝説の勇者。 一般には名前すら伝わっていない、伝説の人型ロボット集団。 500年戦争に終止符を打ったのち、いずこかへ消え去っていったという伝説の戦士団のことが、ミズキはたまらなく好きだったのだ。
/215ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加