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単純明快に言おう。
愛崎凪はツンデレであると。
中学の始め頃だろうか。いきなり凪がツンツンし始めたのだった。
それまでは……。
『あたし陸と結婚する~』
とか。
『陸、大好きっ!!』
などと言っていたのだがな?
『陸……あんまり見ないでくれる?
あたしが見るから……』
『近いわ陸っ!!
あと3ミリ離れなさいっ』
とか完全にツンデレセリフを言い始めたのだった。
最近知ったんだけどな。ツンデレって言葉も。
「お前にぴったりだよ」
「何が?」
「ツンデレって言葉」
「殴るわよ?」
と、言いながら殴ってくる凪の拳を握る。
「急ぐぞ凪」
俺は凪の拳を握ったまま走り出す。
凪は顔を真っ赤にしながら俺についてくる。
「なっ!?
陸っ!?手ぇ握るなぁ!」
「嫌か?」
「まぁ……どうしてもって言うなら……いいわよ」
そう言って凪は俺の手を握り返した。
凪のポニーテールが風で揺れる。俺は意外とこの光景が好きだった。
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