感覚

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気がつくと僕は小さな部屋にいた。 雪国のカマクラのなかみたいな、半球状の部屋だ。 扉があったので外にでてみる。 一回り大きな部屋だ。 やはり半球状だ。天井がさっきより大きく、円い。 振り返ると僕がさっきまでいた、カマクラがあった。 小さい。 僕はあれの中にいたのか。と思う。 扉を探す。そして外にでる。 やはり、半球状の部屋だ。体育館くらい。大きい。振り返ると、一軒家大のカマクラがあった。 やはり僕はあれの中にいたのかと思う。扉を探し、外にでる。 やはり同じ形の建物の中だ。 僕は扉を探し、外にでる、その繰り返しを、永遠に続ける。 扉を出る度にドームは巨大化する。 だから次の扉を探すのに手間取る。 この永遠の作業の先に、外はあるのだろうか。 青空や地平線は見ることができるのだろうか 。 確信もないまま、僕は作業を続ける。
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