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うちにはお父さんがいなかった。あたしが4歳のとき病気で死んだ。
でもそんなの気にならないくらい普通の家庭だった。
それだけお母さんが努力してくれてたんだと思う。
学校行事は必ず来てくれたし、クラブ活動にも顔を出して、大会があれば応援にきてくれた。
習い事をしたいと言えばさせてもらえたし、欲しいものは買ってもらえた。
ノリがよくて、つまらない事にゲラゲラ笑い合って、友達みたいなお母さんだった。
間違ったことが大嫌いで、怒れば拳が飛んできたし、あたしの記憶にあるお父さんよりよっぽど恐い。
お母さん自身も片親だったと聞いたことがある、口には出した事はないけれど、大分苦労したみたいだった。
だからこそ自分の子供にはそんな思いをさせたくなかったんだろう。
あたしは母親であり父親だったお母さんが大好きだった。
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