ごみくず

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最初はあいつらみたいなごみくずなんかにならないとおもってた。   僕は高いし価値がある。   いまにできあがったら綺麗に糊でかためられて額に入って階段の踊り場に飾られて…週に一回埃をとってもらって   そのうち可愛い娘の家に譲られて   玄関に飾られて     色褪せるまで綺麗でいられるのが当然だとおもっていた。       だけど坊っちゃんの不注意で僕の体がひとかけら消えたんだ。 気付いたのは完成間近のときで、お父さんもお母さんも…もちろん坊っちゃんも必死で探した。     坊っちゃんはなきながら僕をいらないと蹴り倒した。 完成間近の僕の体はばらばらに砕けて散らばった。 お父さんとお母さんは僕を塵取りにあつめてごみ箱に捨てた。     待ってよ     欠けたのは一つでしょ?   僕、まだ綺麗だよ   「あなのあいたのなんかかっこわるい!こんなごみいらない」   坊っちゃんはわんわんないて僕の入ってるごみ箱を蹴った。   なんで?なくしたのは坊っちゃんでしょ   僕はなにもしてない!   ただ完成して飾られるのをのぞんだだけ     クスクス   箱のそこで笑い声     君のバカにしてたごみくず その仲間になるなんてね  よせ、やめろ! ほこりをつけるな!!   僕はおまえらとは違うんだ    ごみくずなんかじゃない     私たちだってはじめはごみじゃなかった   でもすてられたんだ、君みたいにね     クスクス汚れをべったり押しつけられて、彼らと長い時間を過ごした。     こうなったらせめて、少しでも早く処分されたい   みっともない、情けない、暗い、臭い、気持ち悪い、帰りたい   どこへ?   ないよ…消えたい
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