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やっと回収日が来たときには僕は僕の名前を忘れていた。
なんだっけ?
もういいや、消えるんだ。
ごみくず?
そうか、そんな名前だっけ
でも僕は回収されなかった
回収業者の詰め込みが甘くてこぼれちゃったんだ。
車だったからそのまま道端にずっところがってた。
雨が降った
踏み付けられた
車にひかれた
太陽に照らされて色褪せた
雨が降った
唾をはかれた
色褪せた
踏み付けられた
踏み付けられた
踏み付けられた
繊維だけになった
軽くなった僕は風に飛ばされた
あつくてつめたくてごつごつしたアスファルトと別れて、暖かい土のうえにのった。
……ようやく僕は消えることができた。
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