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潮風が肌に冷たさを連れてくる。
月明かりのみの寂しい海。
――帰って来たみたいね…。
夜独特の香り、潮の香り、一人の身体に纏い、波音しかしない海に目を向ける。
――日が昇る明日が見たくて
ジーンズの長い裾を折り上げて、4月の海水に足を浸ける。
波が押し寄せ、濡れてしまった裾を気にすることもせず、太陽の姿を探す。
「もう一年が経つのね…。」
一人の海に、溶けるように言葉が消えて行く。
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