第1話

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 私、マナ・リンガウトは可愛くない女の子である。  だって、いつもフード付きのローブで挨拶もしなくてクモの巣に蝶が引っかかっていても助けないのが、私の生き方だから。    なのにこの状況は……?    今、私の目の前には黒髪の少年が顔を紅潮させて何かを言おうとしている。  そして花壇や民家の影から少年を見守る気配がちらほら。    ……これは、まさか、ちまたで噂の、告白というやつか……!?  少年、早まるな。  私は君の名前すら知らないぞ?  それに私にはとある秘密があるから、凡人とは付き合えないぞ?    私が心の中で忠告しても少年に聞こえるはずもなく、少年は告白しようと口を開いた。   「ぼ、僕……──」   「モンスターだぁぁぁ!!」    少年の告白は魔物の襲撃にかき消された。    ……じゃなくて、   「逃げろー!!モンスターだー!!」    少年が村人の声に気を取られた隙に、私は人気のない場所を探して走り出した。    早速、秘密の出番か。
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