烈しい者

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俺はケレイトの勇士を借り受け、さらにキヤト族をあわせた混合部隊を率いてタタル族との決戦に挑んだ。 タタル族の首領ジャムカは西夏と通じ、さらに近隣の部族を併合していたため、強大な軍事力を持っていた。しかしその士気は低く、さらに連携も取れているとは言いがたいものであった。 よって俺は間者を放ち、ジャムカの軍勢の弱点をついた。兵糧を焼き、東方の金国に密使を送り、西夏の東の領土を脅かした。ジャムカを快く思わない部族の者に接触し、内通者を増やした。内通者による手引きでジャムカに忠誠を誓ったものたちのアイルを襲撃、人質を入手し、寝返りを強制した。これらを含むさまざまな計略により、ジャムカの軍勢はもはや満身創痍となった。俺はこの好機を逃さず、すぐさま攻撃を仕掛けた。 たとえ弱っていようとジャムカの軍勢はこちらの軍勢の十倍はいた。だが半日に及ぶ激戦の末、俺の軍勢は勝利した。しかしジャムカはいつの間にか逃走したようで敵陣のどこにもその姿を見つけることはできなかった。俺は勝利後、ジャムカの軍勢に参加していた部族をキヤト族に吸収したため、この大草原においてもっとも広大な領土を治めるものとなった。
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