貧民街

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整髪剤も付けないのに逆立った金色の髪に青い目、どこからどうみても白人種の特徴を持った幼い少年は昨晩から歩き詰めだった足を止め、近場の街で休息していた。   二度に渡る世界を巻き込んだ悲惨な大戦が集結して早数十年。世界的な闘いが終わってもこの世から争いが無くなる事はまず有り得ない。先頃の内戦――北部独立運動だっただろうか?――の煽りを受けて傷だらけの街並みが広がるのを横目にみながら少年はそう思った。   「ふうん…まぁ、ここなら少しは一稼ぎ出来そうだな」   そう呟きながら復興もまばらだが、確かに活動を続ける貧しい街の人混みに少年は消えて行った。  
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