貧民街

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  「まぁ…こんなもんか」   一息つきながら少年は街行く人々から掠め盗った財布や金品を眺めていた。   ――ここは路地裏、この街に住む家無し子たち、ストリートチルドレンの巣窟であった。大概の街で最も治安が悪い場所であり、獲物が横取りされる危険も有ったが、こんな閉ざされた街では余所者の子どもが表でこんな事をしていると先ず警察に通報されるだろう。 上前をはねられるリスクを侵してまで少年がここを選んだのはバレるリスクを考えたならこちらの方がましだと考えたからだ。 実際問題、突然やってきた余所者を警戒する目がそこかしこからちらほら感じられる。  
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